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 2024年3月31日(日)第2回例会作品 

 

『エンドロールのつづき』

サマイ、9歳、チャイ売り。恋に落ちたのは【映画】だった。

 

珠玉のインド映画の数々が彩る、実話から生まれた感動作!

 

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<物語>

9歳のサマイは、インドの田舎町で学校に通いながら、父が営むチャイ店を手伝っている。ある日、母と妹の家族四人揃って街の映画館・ギャラクシー座に行くことに。厳格なバラモン階級の父は映画を低劣なものだと考えているが、信仰しているカーリー女神の映画は特別だと言う。人で溢れかえった映画館でなんとかチケットを手に入れて席に着くと、目に飛び込んだのは後方からスクリーンへと伸びる一筋の光…

そこにはサマイが初めて見る世界が広がっていた。満席の映画館で観客は笑い泣き、時には踊りだす。初めての体験に魅了されたサマイは、翌日も学校を抜け出してギャラクシー座に忍び込むが、チケット代が払えずにつまみ出されてしまう。そんなサマイを見た映写技師のファザルがある提案を持ち掛ける。料理上手なサマイの母が作る弁当と引き換えに、映写室から無料で映画を観せてくれるというのだ。 映写室に通うようになったサマイは、映写窓から観る色とりどりの映画に圧倒され映画に惹き込まれていく。

 そして、サマイはいつしか「映画を作りたい」という夢を抱き始める…


<解説>

チャイ売りの少年が映画と出合い、やがて映画監督になる。

監督自身の驚くべき物語を映画化し、トライベッカ映画祭ほか、世界中の映画祭で五つの観客賞を受賞。大きな夢を抱く主人公には3,000人の中から選ばれた新人バヴィン・ラバリ。そして“映画”への溢れんばかりの愛情を込めて本作を監督したのは、主人公のモデルでもあるパン・ナリン。 

少年の目線で映し出される、果てしなく広がる空と大地、色とりどりのガラスの破片を通して見るカラフルな世界、そして豊かな想像力から生まれる物語の数々。誰もが無邪気な幼少期を思い出すような、幸せで希望溢れる物語が誕生した。

 本作は監督自身の故郷であるグジャラート州でのロケを敢行。大自然の音や光の撮影方法にこだわり、映画は映画館でしか観られなかった時代のゆったりとした時間の流れや、幼いころの飽くなき探求心を美しい映像で現した。 

 また、監督が愛するリュミエール兄弟、エドワード・マイブリッジ、スタンリー・キューブリックなど、ちりばめられた数々の巨匠監督たちに捧げるオマージュを見つけるのも本作の楽しみ方のひとつ。

今もなおインドに存在する階級制度やh貧困というテーマを背景に、大きな夢を抱き未来を照らす光を追い続ける少年のスタがに希望をもらえる、宝石のような感動作。

 

監督、脚本:パン・ナリン

出演:パヴィン・ラバリ、リチャー・ミーナー、バベージュ・シュリマリ他

 

【映写技師ファザルの映画講義】

始まりは“馬”

1878年、エドワード・マイブリッジは12台のカメラを並べ走る馬の撮影に成功する。黒のフォトグラフィーと名付けられたその撮影装置とパラパラ漫画のように馬が走る様子が納められた十数枚の写真『動く馬』。それが映画の始まりだった。

 

映画の父

『動く馬』の撮影から17年後のパリ。シネマトグラフという機器でスクリーンに映し出された映像を大勢の人間が同時に見る、いわば世界初の映画館。主催者は「映画の父」と呼ばれているリュミエール兄弟。

 

トーキーの普及

それから30年後。トーキー映画の普及により映画は再び大きな変革を迎える。1927年に公開された『ジャズシンガー』は音楽や効果音のみだった長編映画に、初めて一部のセリフを入れた作品。ヴァイタフォンと呼ばれるその方式は、映画の上映と同期して音の入ったレコード盤を再生する仕組み。

 

フィルムからデジタルへ

時は流れて2001年。世界で初めてフィルムを使用せず全編デジタル撮影されたフランス映画『ヴィドック』。

翌年は『スターウォーズ/クローンの攻撃』が公開。映画はフィルムからデジタルへと大きく舵をとった。

その潮流は、映画界にも波及してフィルムの上映ができる映画館は次々に減った。

 


『エンドロールのつづき』を推します(会員I氏)

人生において、きっかけというものは、いろいろあると思いますが、幼いころの出来事は、時に大きな影響を与えることがあります。私事ですが、小学生の頃、父親から日本地図を買ってもらい、眺めているうちに、県の名前や川、山、湖の名前などを覚えていました。そのうち、実際に行ってみたくなり、大学生の頃山陰から関西にひとり旅をしました。今から50年も前のことです。以来、私の人生において、旅を計画して、実行して、記録と記憶することが、生活の一部となっています。それから、映画サークルとの出会いが、約40年前、街中の電柱に掲示してあった「若者たち」を観に行ったのがきっかけです。

話を例会作品に戻しましょう。映画に出てくるチャイ売りの少年も家族と観に行った映画館での体験が忘れられず、チケット代を払えずにつまみだされても観たいという欲求から、映写技師の提案を受け入れて映画にはまっていきます。これもまた、きっかけがあったからこそ生まれた物語です。

この作品で+、もう一つ注目すべきは、映画の中に様々な傑作・名作のオマージュがちりばめられているところです。リュミエール、キューブリック、タルコフスキーなどです。どこに入っているかわかりにくいので、通の人には考える楽しみかも。ちなみに私もよくわかりませんでした。

それから、この作品でのキーワードが光です。チラシやパンフにもあるのですが、今は見ることが難しくなった映写機からスクリーンまでの一筋の光です。私もフィルムの時代を長く経験していますので、映写機から聴こえるカタカタというフィルムを送る音と同時に一筋の光が忘れられません。まさに暗闇の芸術です。この作品は監督の半世紀ということですが、映画の歴史や上映の歴史を学ぶ上でも、有意義な作品だと思います。

インド映画は賑やかなシーンが出てくることが多いですが、この作品は違った意味でファンにさせてくれる魅力を持っています。

最後に、タイトルのエンドロール(映画の最後に出演者やスタッフなどが出てくる字幕)の後に余韻を残してくれる作品でもあります。皆さんはどのように感じますでしょうか。


『エンドロールのつづき』を観て(会員M氏)

インド版『ニューシネマ・パラダイス』と言われていた本作。類似点もあるのかな、と思いますが別の作品として楽しく観ることができました。パン・ナリン監督の実体験が映画になっているので、主人公サマイが映画監督になる夢を志し、その道を覚悟を決めて突き進む場面は涙なしには観られませんでした。全体的に色彩豊かで、光の映像が本当に美しい作品でした。
子どもの探求心はキラキラしていて素晴らしく、観ているほうも心が洗われるようでした。特に夢に向かって歩き出すサマイとその家族の強い結びつきが印象的。
楽しいだけの作品ではなく、市井の人の姿にもクローズアップしていたので、インドの社会情勢を知ることができました。また、劇中、お母さんの手料理が何度も登場しますが、スクリーンの中からいい香りがしてきそうなくらい美味しそうな料理のオンパレードにお腹が鳴りそうでした。


場所:福岡市総合図書館映像ホール「シネラ」

1回目 11:00~/2回目 14:00~

上映時間(112分)

料金:一般当日1,400円・前売り1,200円/シニア当日券のみ1,100円/中高生 当日券のみ800円

チケットぴあ(P468-314)/ローソンチケット(L-82878)

℡:092-781-2817

mail:fukuokaeisa@gmail.com (返信に2-3日お時間をいただく場合がございます。ご了承ください。)